コミュニティFM大分析 #36【報道に取り組んでいるコミュニティFM】
- koshibatakashi
- 8月9日
- 読了時間: 6分

こんにちは。「コミュニティFM大図鑑」のコシバです。
コシバが長年調査・収集した情報を分析して、目黒先生の解説と共に紹介していく「コミュニティFM大分析」。
2026年7月26日放送の「サンデー防災Open Lab.」では「報道」に取り組んでいるコミュニティFMをご紹介しました。
コミュニティFMは地域のさまざまな情報を伝えていて、2016年に民間の調査会社が調べたところ、2/3の局がニュース番組を設けているという結果も出ています。
ただ、その多くは情報源を新聞社や通信社からの配信に頼っているところが多く、社会的な出来事や事実を自ら取材し、多くの人に伝える「報道」をしているところはあまり多くありません。
理由には、かつかつの少ない人数で運営しているため取材に行けない、専任の記者を雇うことができないことなどが挙げられるほか、賛否が分かれるようなことや、政治的な部分の話題を避けている傾向も見られます。
しかし、そのような難しい条件の中でも、自社で報道に取り組んでいるコミュニティFMもあります。どのような理由で報道に取り組んでいるのか、今回は3つの局をご紹介したいと思います。
■報道の空白を埋める自社取材
●鹿角きりたんぽFM(秋田県鹿角市)「FM鹿角ニュース」
まずは秋田県鹿角市の鹿角きりたんぽFMをご紹介したいと思います。鹿角きりたんぽFMは2013年の開局以来、自前の記者を抱え、地域のニュースを取材、報道しています。
鹿角地域は秋田県の北東部、岩手と青森の両県に隣接する位置にあり、県庁所在地である秋田市からはかなり離れています。
それにも関わらず、県域局が発信するニュースは秋田市に偏る傾向があり、鹿角市民はそのことに不満を感じているという背景から、鹿角きりたんぽFMは独自に地域の出来事を取材し、報道することにしました。
こうして取材した素材は「FM鹿角ニュース」として、平日は朝、昼、夕方のワイド番組内で計6回、土日は1回ずつ、それぞれ放送しています。また、鹿角きりたんぽFMの公式サイトでもトップページの目立つ場所にヘッドラインが置かれるなど、非常に力を入れていることがわかります。
過去には、鹿角市が滞納税を徴収権が消滅する時効後に徴収していたり、時効前に不能欠損処理した問題や、隣の小坂町の民間廃棄物処理場に埋め立て基準を超える鉛を含む焼却灰が搬入された問題についても、独自に取材し、報道しました。
県北部では唯一の報道媒体であることから、ニュース素材を県域局に提供することもあり、鹿角きりたんぽFMは地域の貴重な情報源となっています。
■市民のニーズから始めた「街角記者」によるニュース

●FMいかる(京都府綾部市)「街角ニュース」
次は京都府綾部市にあるFMいかるです。
FMいかるは1998年に開局しましたが、当初は報道は行わず、地域のイベントの取材や地元の新聞から配信されたニュースの紹介などを行っていました。
FMいかるでは4年に一度、市民への意識調査を行っていますが、2018年に行った調査で市民参加番組よりも地元のニュース番組の方が大きなニーズがあることが分かりました。
綾部市民はFMいかるに、新聞と同じ立ち位置の客観的な記者の目を通した「地域ジャーナリズム」を求めている。この結果を受けてFMいかるは報道に参入することを決めましたが、小規模体制のコミュニティFMゆえ、最初は手探り状態の中で始まりました。
手始めに2018年7月の豪雨災害に関する報道を2週間行ってその感触をつかみ、翌2019年4月から本格的に取材活動をスタート。スタッフのほぼ全員に「街角記者」という肩書をつけ、取材時間を確保するために、生放送番組の時間を短縮して臨みました。
取材はNHKラジオのニュースを手本にして、記事原稿に現地で録音したインタビューや現場の音声で記事を補足したものを、ニュース素材として製作しています。
このようにして毎日3本のニュースを集め、当日の夕方6時台に『街角ニュース』として伝えていて、翌朝7時台にも同じニュースを流しているほか、SNSにも取材の様子を配信しています。
また、FMいかるではドキュメンタリーの製作にも取り組んでおり、JCBA(日本コミュニティ放送協会)近畿地区協議会の近畿コミュニティ放送賞など何度も賞を受けていて、市内に住むあるパーキンソン病患者と、その方を支える家族会に密着したドキュメンタリー『歩き始める』は2018年度のギャラクシー賞で奨励賞を受賞しました。
■地元紙の休刊をきっかけに新聞製作に参入

●FMゆきぐに(新潟県南魚沼市) 「雪国新聞」
最後は、新潟県南魚沼市のFMゆきぐにをご紹介します。こちらはラジオやネットではなく、紙媒体で報道する「雪国新聞」を週1回発行し、約1,000部を発行しています。
FMゆきぐにも開局当初は報道分野には参入していませんでしたが、2012年に別の地域新聞が廃刊したことをきっかけに、それを実質的に引き継ぐような形で、2019年に「雪国新聞」を創刊しました。
FMゆきぐにによると、この地域は高齢者が多いためネットより紙媒体のニーズが高く、地元の人が情報を得られる紙媒体を作らなければという思いから創刊したそうです。
「雪国新聞」は、FMゆきぐにのスタッフが記者を兼ねて、南魚沼市と湯沢町(ゆざわまち)の南魚沼地域のニュースを取材。題字の隣にも書かれた「くらしみつめて」を理念に、日々の出来事を掲載しています。
以前の取材で伺ったときは、新聞も手掛けるようになって仕事の量が倍になり、また南魚沼地域は広いので取材も大変なことをおっしゃっていましたが、これまでラジオでは受けなかった硬い話題が紙媒体でなら紹介できると、そのメリットを話していました。
取材して集めたニュースはFMゆきぐにの番組でも一部を放送するメディアミックスも行っており、FMゆきぐにではこれを「二刀流」と呼んでいます。自社でラジオと新聞を抱えるFMゆきぐには、コミュニティFMの大谷翔平と言えるかもしれません。
ということで、今回は報道に取り組んでいるコミュニティFMを3つご紹介しました。
開局当初から報道に取り組んでいる鹿角きりたんぽFM、後から報道に参入したFMいかるとFMゆきぐには、時期は異なりますが、背景にあったのは地域住民のニーズでした。
途中からの体制づくりとなったFMいかるとFMゆきぐには、当初は苦労があったそうですが、軌道に乗り出すと、安定的にニュースを供給できるようになりました。そういう体制を作り上げたスタッフの方々の並々ならぬ努力には頭が下がります。
FMゆきぐには記者クラブに加盟したことで行政関係などの繋がりが増えて、取り扱う情報の幅が広がったと話しています。
冒頭にもお話したように、すべてのコミュニティFMが報道に取り組める状況ではありませんが、報道によるニュースの供給はコミュニティFMの可能性を広げるのではないかと思いました。
ご覧頂き、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。


















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