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コミュニティFM大分析 #34【異業種が運営しているコミュニティFM】

  • koshibatakashi
  • 3 日前
  • 読了時間: 6分


こんにちは。「コミュニティFM大図鑑」のコシバです。


コシバが長年調査・収集した情報を分析して、目黒先生の解説と共に紹介していく「コミュニティFM大分析」。


2026年5月31日放送の「サンデー防災Open Lab.」では、異業種が運営しているコミュニティFMについてお送りしました。


これまでのコミュニティFM大分析でもご紹介してきたように、コミュニティFMの運営形態は本当に多種多様で、興味深いことの一つだと思います。

 

県域の放送局の場合、例えば「株式会社◯◯放送」とか「株式会社ラジオ◯◯」のように、放送をメインにやっている会社ばかりですが、コミュニティFMの場合は異業種の会社・法人が直接運営しているという例が珍しくありません。

 

なぜこの会社がコミュニティFMをやろうと思ったのか。今回は3つの局をピックアップして、深掘りしていきたいと思います。



 

■コミュニティFM第一号はロープウェイの会社が運営


FMいるか(函館山ロープウェイ)

 

まずは、北海道函館市のFMいるかをご紹介します。言わずと知れた日本初のコミュニティFM。このFMいるかを運営しているのは、函館山への足を担うために1958年に設立された、函館山ロープウェイ株式会社です。

 

函館山ロープウェイは日本三大夜景として知られる函館山の麓と山頂を結ぶ路線で、年間で100万人以上が利用しています。しかし、悪天候の際は運休になるなど利用状況に波があり、天候に左右されない別の事業を考えていたそうです。

 

函館山ロープウェイの当時の社長である西野鷹志さんは、1989年にアメリカ・サンフランシスコを訪れました。そこで、地元の小さなラジオ局がオリジナリティーあふれる放送をしていたのを観て、ラジオをやってみたいと考えました。

 

背景には、北海道のメディアが札幌の情報ばかりを扱っていて、地元のことがあまり取り上げられていないという不満がありました。また、観光都市である函館をPRしたいという思いもありました。

 

そういった中、当時の郵政省が地域の情報化や観光振興を図るために、コミュニティ放送の制度を導入するという情報をキャッチした函館山ロープウェイはいち早く手を挙げて、実証実験のための臨時FM局を経て、1992年12月24日にFMいるかとして放送を開始しました。

 

FMいるかが開局したとき、スタッフ10人のうち7人は放送経験の経験がなく、最初は手探り状態だったそうですが、放送を重ねていく中で経験やノウハウを重ね、パイオニアとしてコミュニティFM界を牽引し続けています。

 

スタジオはかつて「いるか807ビル」という建物の3階にありましたが、2015年11月に函館山ロープウェイの山麓駅舎内に移転しました。スタジオは駅の入口から乗り場への導線上にあり、ロープウェイを利用する人は必ず目に入るようになっています。

 

毎年100万人以上は「FMいるか」を目にしているわけで、これも函館山ロープウェイが運営しているからこそできたことだと思います。



■事業展開の視察で訪れたサテライトスタジオをきっかけに放送分野へ



チョクラジ(つなぐほーむ)

 

続いては、福岡県直方市のチョクラジをご紹介します。こちらは直方市に本社を置く不動産賃貸会社・株式会社つなぐほーむが運営しています。

 

つなぐほーむの社長である岩尾一豊さんは、当時介護分野への事業展開を考えていて、2013年に知り合いの紹介で北九州市の介護施設を視察に訪れました。

 

そこでは、北九州市の八幡西区と若松区などをエリアとするコミュニティFM・AIR STATION HIBIKIが毎週公開生放送を行っていて、岩尾さんが訪れた日はちょうど生放送をやっていました。

 

ラジオを通じて入所されている方と市民が交流している様子を見て、岩尾さんは「閉塞的な空間になりがちな福祉の現場が、人の交流の場になっていた」と感じて、それからラジオに興味を持つようになりました。さっそくAIR STATION HIBIKIに掛け合って、その年の4月から地元・直方ゆかりの人をゲストに招いてトークをする番組を始めました。

 

岩尾さんは「ジャッキー岩尾」と名乗って自らパーソナリティーを務め、ゲストも自らブッキングをしていましたが、AIR STATION HIBIKIはあくまで八幡西区と若松区のコミュニティFMで、肝心の直方市では八幡西区との境界部分でしか聴こえませんでした。

 

そこで岩尾さんは、直方市の中心部にある古町商店街の自社の空きビルを改装して、ガラス張りの「のおがたサテライトスタジオ」を作って、そこから放送するようになりました。

 

岩尾さんは番組をやっていく中で「人が思いを伝える場所を提供し、その思いを引き出すのが自分の役割だ」と感じて、自らコミュニティFMを開局することを決意。そして2019年6月に、直方市をエリアとするチョクラジを開局させました。

 

介護への事業展開を考えていたのに、そこでたまたまラジオの公開生放送をやっていたことがきっかけでコミュニティFMの番組を持ち、そして自らコミュニティFMを作ってしまったその行動力は凄いなと思いました。



■阪神・淡路大震災から抱き続けていたラジオへの思い



FM五條(祥水園)

 

最後は奈良県五條市のFM五條をご紹介します。FM五條は五條市で総合老人福祉事業を展開している、社会福祉法人の祥水園が運営しています。

 

祥水園の塩崎万規子理事長は、兵庫県西宮市に住んでいた1995年1月に阪神・淡路大震災で被災。当時住んでいたマンションが半壊して、避難所生活を強いられました。

 

何も情報が入ってこない避難所で唯一役に立ったのがラジオで、電波を通じて各地からの応援メッセージも紹介され、塩崎さんは「生きる勇気や元気をもらい、毎日涙を流していた」そうです。

 

塩崎さんは五條市で介護福祉の事業をやるようになってからも、ラジオへの思いを抱き続けていましたが、2011年9月に発生した紀伊水害で五條市内でも11人が犠牲になる中、十分な支援をすることができなかったことを悔やんだそうで、それまで構想にとどまっていたコミュニティFMを開局することを決意しました。

 

ちょうど老朽化した祥水園の施設を建て替え、移転する計画があり、新しい施設にラジオのスタジオを取り入れ、2017年7月にFM五條が開局。長年の夢がついに現実のものになりました。

 

この建物は老人福祉施設のため主に高齢者の方が使いますが、カフェやリラグゼーションスペース、そしてスポーツジムが併設されていて、一般市民の方も自由に使うことができます。FM五條のスタジオはそのスポーツジムの中にあります。

 

FM五條はここに入所する方々と市民をつなぐ場としてだけでなく、開局のきっかけとなった防災情報発信の場として、塩崎さんの長年の思いがつまったものになっています。


 

ということで、今回は放送とは違う分野の業界が運営しているコミュニティFMを3つご紹介しました。

 

そもそもコミュニティFMの第一号がロープウェイの会社だったわけですから、異業種が参入しやすい素地があったのかもしれません。

 

こういった局はそれまでの放送業界の慣例や常識にとらわれない、柔軟な発想が出てくるので、他の局にとっても刺激になるのではないでしょうか。

 

コミュニティFMの活性化のために、もっといろいろな業界から参入してほしいなと思いました。




ご覧頂き、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。





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