コミュニティFM大分析 #24【地元の隠れた凄い人を紹介するコミュニティFMの番組】
- koshibatakashi
- 8月11日
- 読了時間: 6分

こんにちは。「コミュニティFM大図鑑」のコシバです。
コシバが長年調査・収集した情報を分析して、目黒先生の解説と共に紹介していく「コミュニティFM大分析」。
2025年7月27日放送の「サンデー防災Open Lab.」では、地元の隠れた凄い人を紹介するコミュニティFMの番組をご紹介しました。
地域密着のコミュニティFMは、大きな放送局では取り上げられないけど、地元で凄いことをやっている方々を紹介する番組があり、自分の住む街にはどんな方がいらっしゃるのかを知るきっかけになっています。
今回のオープンラボではそれに注目して、3つのコミュニティFM局の番組や取り組みをご紹介したいと思います。
■先進的、革新的な気風の鎌倉の人を紹介
●鎌倉FM(神奈川県鎌倉市)『みんなのアカデミア』

鎌倉には源頼朝の頃から、先進的、革新的な考えを持った方が多く住んでいて、例えば「SDGs」という言葉が浸透する前から、持続可能なあり方や社会を目指し活動してきた方もいらっしゃるそうです。
鎌倉FMで2019年から放送している『みんなのアカデミア』では、そんな鎌倉という地で「ローカルコミュニティ・学び・未来」をキーワードに、鎌倉とその周辺で活動している方をゲストに招いて話を訊くトーク番組です。
ちなみに「アカデミア」とは、終戦直後にわずか4年間しか存在しなかったものの、映画監督の鈴木清順さんや、俳優の高松英郎さん、タレントの前田武彦さんなど、映画や芸術関係で多くの人材を世に送り出した私立学校「鎌倉アカデミア」に由来しています。
『みんなのアカデミア』は前後半の2回に分けて30分ずつの計1時間で、話をじっくり訊いて掘り下げながら、ゲストの活動を幅広く紹介しています。
これまでの6年間で70人ほどの方が出演されて、かつて鎌倉アカデミアで学んだ俳優・加藤茂雄さんや、地元でイギリスのアンティーク博物館を開いた方、ハーティングフェーレという楽器を日本で唯一製作された方などが登場しました。
また、葉山でゲストハウスのオーナーをされている方は、長崎の壱岐島にも生活の拠点を持っていて、この繋がりから壱岐島にあるコミュニティFM・壱岐エフエムでも番組を放送するようになりました。
パーソナリティーの中溪(なかたに)裕子さんは、「番組を通じて地域の人が『気づき』『閃き』、新たな繋がりが作られることで、その人の、地域のチカラになっていくことを目指しています」と話しています。番組のアーカイブはみんなのアカデミア公式サイトから聴くことができます。
アーカイブはインターネットでも配信しています。
■2時間生放送、うっとおしいほど訊きまくりで深掘り
●FMおおつ(滋賀県大津市)『この人に聞きたい』

FMおおつで放送している『この人に聞きたい』の特徴は、生放送であること。そして2時間の長尺であることです。
番組では古田誠社長や「魅せ方プロデューサー」の肩書きを持つマダム芦田さんなどが聞き手となって、うっとおしいほど根掘り葉掘り訊く、ロングロングインタビューと題しています。
大津や京都エリアで活動する方を招いていて、これまで企業やお店のオーナー、行政関係の方、ドローンスクールの校長、元プロスキーヤーなど多岐に渡る方々が出演してきました。
例えば、地元で長年発行している雑誌『湖国と文化』の編集長・三宅貴江(たかみ)さんが出演された際は、雑誌の取材で滋賀のさまざまな文化に触れた際のエピソードなどを話しました。
『湖国と文化』で、地元で100年近く親しまれる『琵琶湖周航の歌』という曲を取り上げたときに、インタビューした滋賀の音楽ユニット・リーファのお二人はCD化の際、収録時間の関係で通常4番までしか録音しないことが多いこの曲を、フルコーラスの6番まで歌わないと地元のアーティストとして意味がないと音楽会社を押し切ったエピソードを披露。もちろん番組でもフルコーラスで流しました。6番は「語れ我が友熱き心」と青年らしいメッセージが込められていたからだそうです。
2時間という長さを生かして、その方の人生や扱っている分野のマニアックな話などを深掘りできるのが特徴で、また生放送なのでリスナーの反応も直に接することができます。
『この人に聞きたい』は、2025年7月にリニューアルをしたばかりです。さらにパワーアップした『この人に聞きたい』は、ますますいい意味でうっとおしいほど深掘りしています。
■小中学生向けに地域の偉人を紹介
●FMふくやま(広島県福山市)『福山・郷土の偉人たち』

最後に紹介するのは番組ではなく、FMふくやまが市内の小中学校や幼稚園などに毎月配布している「FMふくやま月刊こども新聞」に掲載しているコラムです。
FMふくやまでは2021年春から、子供向けにわかりやすく地域の情報を紹介する「こども新聞」を発行していて、広く知られていない地元の誇りに光を当てて郷土愛を育む機会になればと、創刊号から『福山・郷土の偉人たち』というコラムを連載しています。
例えば、京都女子大学の創始者で歌人としても活躍した甲斐和里子(わりこ)、西洋ボクサーとの異種格闘技戦で勝った力士の鞆ノ平武右衛門(とものひら・たけえもん)など、ちょっとマイナーだけど結構すごい方々が登場しています。
また、小中学生向けなのでわかりやすく書かれているのも特徴で、振り仮名も振られています。
昨年、このコラムをまとめたものが本になりました。市内の書店で販売しているほか、市内の小中高校全131校へ1冊ずつ無償で配りました。
このコラムを執筆しているFMふくやまの田中宏行局長は、地元紙の取材で「まちづくりの根幹には郷土愛が必要。その醸成の一助になれば嬉しい。一人一人の生き方を見て、将来の指針にしてほしい」と話しています。
というわけで、3つの番組や取り組みをご紹介してきましたが、地元にこんな方がいたことを知ると、自分の住んでいる街が好きになり、FMふくやまの田中局長がおっしゃった「郷土愛」を育てるきっかけになります。
子どもたちの場合は郷土愛を高めることが、将来もこの街に住み続ける、もしくは一旦街を離れたとしても帰ってくるきっかけになるかもしれません。
また、出演された方もラジオに出たことをきっかけに新たな出会いが生まれて、そこから新しい繋がりや取り組みが生まれています。
エリアが限られているこそできるコミュニティFMならではの取り組み。これらの番組やコラムをきっかけに自分の街をもっと好きになってほしいと思います。
ご覧頂き、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。
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