コミュニティFM大分析 #22【方言に関するコミュニティFMの番組】
- koshibatakashi
- 3 日前
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こんにちは。「コミュニティFM大図鑑」のコシバです。
コシバが長年調査・収集した情報を分析して、目黒先生の解説と共に紹介していく「コミュニティFM大分析」。
2025年5月25日放送の「サンデー防災Open Lab.」で、方言に関するコミュニティFMの番組をご紹介しました。
私がコミュニティFMを好きな理由の一つに、地元のことば「方言」があります。コミュニティFMは放送の中で方言が飛び交っていて、その地域の雰囲気を感じることができます。
また、コミュニティFMは地域の文化を守り、次の世代に伝えるという役割もあり、方言ももちろんその一つです。
そんな中で、今回は方言を扱っていた番組をピックアップしてみました。
■6000回続く方言の番組!
●Be FM(青森県八戸市)『おもしろ南部弁講座』
八戸は南部という地域にありますが、その南部のことばを毎回一つ取り上げて紹介し、南部弁の良さを伝えるとともに、後世に残していくことを目的に放送しています。
『おもしろ南部弁講座』はBe FMが開局した1999年に始まりましたが、最初は硬い語学講座だったそうです。翌年バラエティー的な要素を加えて、南部弁を面白おかしく紹介するようになりました。
パーソナリティーは八戸市公民館長の柾谷伸夫さんと、地元の劇団やませ代表の大舘登美子さん。お二人によるミニラジオドラマの形式で、最初は南部弁、次に標準語を流して、最後に方言の解説をしています。
番組は昨年25周年を迎えて、放送回数も6,000回を突破。これまでに取り上げた南部弁は7,000語を数えます。青森県外から毎回メールを送ってくるという熱心なファンもいらっしゃるそうです。
アーカイブはYouTubeで配信しています。
■方言も英語も学べて“トリリンガル”になれる番組
●FMジャングル(兵庫県豊岡市)『Let's Enjoy 但馬弁ミラクルENGLISH!』

但馬弁は兵庫県の北部で使われている言葉で、いわゆる関西弁よりは山陰で使われている言葉に近いそうです。
2021年にスタートした『Let's Enjoy 但馬弁ミラクルENGLISH!』はタイトルにもある通り、但馬弁の紹介だけでなく、それを英語に訳すという、一捻り加えた番組になっています。
パーソナリティーは、海外勤務を経て地元の高校で英語の講師を務める「グレゴリー」こと西垣義嗣さんと、FMジャングルの佐伯和亜さんのお二人です。
番組ではまず但馬弁を紹介して、それを標準語に訳し、さらに英語でどう表現するかというのが聴きどころとなっていて、グレゴリーさんと佐伯さんの軽妙なやり取りが人気となっています。
リスナーから教えてもらって初めて知る但馬弁もあり、西垣さんも佐伯さんも地元のことばを見つめ直す機会になっているそうです。
(但馬弁の英訳の例)
・「何しとんさるん」=何をしているの?=What are you doing?
・「おーとろっしゃ」=びっくりした=That's amazing!
・「なつべる」=片づける=put in
■シマグチだけで進行するニュース番組

●あまみエフエム・ディ!ウェイヴ(鹿児島県奄美市)『シマグチNEWS シマユムTIME』
ここからは上級編。標準語による解説や翻訳がなく、方言だけで放送している番組をご紹介していきます。まずは奄美大島のコミュニティFM・あまみエフエムから、『シマグチNEWS シマユムTIME』をお送りします。
2009年に始まった番組で、奄美大島の言葉「シマグチ」のプロである「シマユムタ伝える会」(シマユムタは方言の意味です)の方々が、地元でこの1週間に起こったニュースをシマグチで紹介し、コメントもシマグチで行うという番組です。
奄美市の隣にある大和村のサイトによると、「昭和40年代からのテレビの普及や学校での方言の使用禁止により、急速に方言離れが進んだと言われています。奄美語を自由に使って会話できるのは50才以上の年代で、奄美語を話せる人でも、周囲に合わせ標準語を使っており、普段から使わないとどんどん忘れていってしまうため、なかなか次世代への引き継ぎがなされていない状況です」とあります。
あまみエフエムの方々もこの状況に危機感を感じて、失われつつあるシマグチや文化を若い世代に伝えていく一環として『シマグチNEWS シマユムTIME』が始まりました。
■オランダ人のパーソナリティーが琉球諸語を解説

●ぎのわんシティFM(沖縄県宜野湾市)『ま~る~ま~る~し琉球諸語』
最後にご紹介するのは、沖縄の方言「ウチナーグチ」についての番組です。
「ま~る~ま~る~し」とは代わりばんこという意味で、オランダ人のハイス・ファン・デル・ルベさんと半嶺(はんみね)まどかさん、上間明さんの3人が交代で出演されています。こちらも30分の番組すべてをウチナーグチで話しており、標準語は使っていません。
出演者の一人、ハイスさんは20歳で初めて来日した時に沖縄の言葉に興味を持ち、独学でウチナーグチを習得したそうです。その後琉球大学で学び、現在は沖縄国際大学で「琉球諸語」の研究をされています。
番組では沖縄本島のみならず、久米島や石垣島、沖永良部島などの島の言葉を取り上げて深掘りし、時には外国の言葉や人類の言語のルーツも取り上げるという、かなり上級者向けの内容になっています。
ハイスさんはこの番組で、流暢なウチナーグチを披露しています。アーカイブはYouTubeでも配信しています。
方言はその地域の文化でもありますが、奄美大島の例のように、時代の流れとともに方言が使われなくなり、若い世代が地元のことばを知らないという現象も起きています。
2024年、岐阜市の方言研究家・神田卓朗さんが、市内の高校生らに岐阜弁の理解度や認識度を調べたところ、「分からない」という答えが25年前よりも増えているという、新聞の記事もありました。
ラジオという気軽に聴けるメディアでこうした方言に触れられるのは、今の時代に合っていると思います。これらの番組が、自分が住む街の方言に興味を持つきっかけになればいいですね。
ご覧頂き、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。
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