コミュニティFM大分析 #7【各自治体の域内総生産と人口密度でCFMを分析】
- koshibatakashi
- 2月5日
- 読了時間: 3分
更新日:3月2日

こんにちは。「コミュニティFM大図鑑」のコシバです。
コシバが長年調査・収集した情報を分析して、目黒先生の解説と共に紹介していく「コミュニティFM大分析」。
2023年9月24日の「サンデー防災Open.Lab」では、各自治体の域内総生産、そして人口密度という二つの視点からコミュニティFMの分析をしました。
■コミュニティFMが所在する自治体の域内総生産額
前回、自治体の人口1人あたりの住民所得で分析を試みましたが、全体とコミュニティFMがある自治体、ならびに運営形態ごとで、それほど大きな差は見られませんでした。
今回は自治体ごとの経済の活動度、その目安となる「域内総生産(その自治体の会社や個人が生み出す価値)」で見てみたいと思います。
域内総生産は各道府県(一部は市)のサイト「市町村民経済計算」(2020年度、一部は18、19年度)から名目の総生産を抽出しました。
なお、域内総生産のデータを出しているのは1,741市町村(東京23区を含む)のうち、約71%の1,238市町村です。その点はご了承下さい。

名目域内総生産のデータがある自治体のうち、コミュニティFMが所在するのは239市町村で、その平均額は1兆0293億円と全体と比べて3倍近い金額になります。
比率を見ると、1000億円以上の自治体が約85%を占めています。

全体との比率の比較で見るとその差は一目瞭然で、1000億円~9999億円は全国平均は4割ほどなのに対して、コミュニティFMがある自治体は6割以上です。
1兆円以上となると全国平均が6%に満たないのに、コミュニティFMがある自治体は1/4近くと、さらに際立った差が出ています。
こうして見ると、経済活動度が高い地域にコミュニティFM局が偏在していることが見えてきます。
■全体とコミュニティFM経営形態別での域内総生産額の比較

今度は経営形態ごとに見てみると、純民間のコミュニティFMがある自治体は全体の4倍近くに跳ね上がる一方、NPOはコミュニティFMの平均より低く、CATVはさらに低くなります。
公設民営に至っては全体平均の約半分しかなく、経済活動度が低い自治体は公設民営方式をとらないと運営が難しいことがわかります。
■コミュニティFMが所在する自治体の人口密度
今度は人口密度を見てみます。
人口は総務省統計局の国勢調査(2020年度)「人口等基本集計」表番号1-1から抽出しました。
各市町村の面積は国土地理院のサイト「全国都道府県市区町村別面積調」にあるCSVファイル「令和元年7月以降(令和5年4月まで)」から、2023(令和5)年4月の分を抽出して
上記の人口で割ったものを人口密度として出しました。
※境界未定がある自治体は参考値の注釈があります。
※福島県双葉町は2020年度の人口データがないため、人口密度は出していません。

自治体ごとの1㎢あたりの人口密度の平均は約1,070人。これに対してコミュニティFMが所在する自治体の平均は2倍近い、約1,853人です。
比率を見ると、100人~999人が約半数と最も多くなっています。

全体との比率を比較すると、全体の方が多いのは100人未満のみで、それ以上はコミュニティFMが所在する自治体の方が上回っていて、人口密度の高い地域に偏在していることがわかります。
■コミュニティFM経営形態別の人口密度

経営形態ごとに見てみると、CATV直営は平均を下回る約673人、公設民営型はさらに低い約243人となっています。
CATVはもともと難視聴地域に公的なサポートをするために作られたという経緯があり、いわゆる過疎地帯に多くあります。
CATV直営や公設民営型が平均を下回っているのは、公的なサポートがないとコミュニティFMの運営が難しいことを示唆しているのではないかと、目黒先生はおっしゃっていました。
ご覧頂き、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

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