
こんにちは。「コミュニティFM大図鑑」のコシバです。
コシバが長年調査・収集した情報を分析して、目黒先生の解説と共に紹介していく「コミュニティFM大分析」。
2024年3月31日の「サンデー防災Open.Lab」では、コミュニティFMの各局が運営をしていく上で悩んでいることについて取り上げました。
■コミュニティFM各局はどのような悩みを抱えているのか
コシバは全国のコミュニティFM局を訪れた際に、運営上で悩んでいることについてスタッフの方に訊いていました。その中で特に多かったのが
①収益
②住民への認知度
③高齢化・後継者不足
の3つでした。
■コミュニティFMの経営基盤は盤石ではない
まず、収益の問題についてですが、日本コミュニティ放送協会(JCBA)の資料「コミュニティ放送の現況」によると、経営基盤は盤石とは言えず、人的、放送・送信設備の両面で、必要最小限で賄っているところが多いです。
総務省の「令和3年度(2021年度)民間放送事業者の収支状況」によると、コミュニティ放送事業者の305社のうち、当期損益の黒字は182社(59.7%)、赤字は123社(40.3%)です。
一見、6割は黒字経営なんだと思ってしまいますが、その中には親会社や行政からの委託金などの支援で、何とか黒字になっているところがあります。そのため、経営の実態としてはとても苦しいと言えます。
実際に阪神・淡路大震災を受けて1990年代後半に開局した近畿の第三セクターのコミュニティFM局が近年、行政からの委託金見直しで自立経営が困難になって、閉局するケースが相次いでいます。
そんな中で一般財団法人から経営を引き継ぎ、2023年に放送を始めた兵庫県尼崎市の「みんなのあま咲き放送局」は前年度黒字の状態で放送機材を無償で譲り受けるなど、比較的有利な条件で始めましたが、それでも1年間運営するのに2,000万円かかるそうです。
現場ではこのような声を聞きました。
・何度も会社を畳まなければならないピンチがあった。(関東地方の純民間局)
・経営が追い込まれて、出資者に頭を下げてお金を出してもらって乗り越えた。(東北地方の純民間局)
■地元住民がコミュニティFMがあることを知らない
地域にコミュニティFMが根付いていない、地元に放送局があることを知られていないと悩む局も多いです。
少し古いデータですが、2010年に滋賀県が「県からのお知らせをコミュニティFMで放送することについてのアンケート」を取ったところ、県内のコミュニティFMをよく聴く・ときどき聴くと回答したのは全体の約1/4でした。
コシバはこのような声を聞きました。
・学生が多い街なので、住民の入れ替わりが多く、認知度がなかなか上がらない。(中国地方の純民間局)
・開局から10年が経ったのに、放送を聴いたことがある割合が4割にとどまっている。(東海地区の純民間局)
■コミュニティFMにも押し寄せる高齢化と後継者不足
コミュニティFMは制度化から30年を迎え、世代交代の波が押し寄せていますが、多くの局で20年以上経営者やスタッフが替わらず、そのまま高齢化していっているという現状があります。
かつてはラジオ局で働くこと、ラジオパーソナリティーは憧れの職業でした。しかし、今の若い世代はラジオを聴かない、そもそもラジオを持っていないという人が多く、コミュニティFMのスタッフになかなかなってくれないそうです。
そのため、創業者がほぼ一人で運営していたところが、その創業者が亡くなったために閉局したところや、技術やノウハウを引き継ぐ後継者を見つけられず閉局というケースも見られます。
コシバが聞いた話では、
・スタッフの募集をかけたら、1980年代のラジオ世代だった方ばかりが応募してきた。(中国地区の純民間局)
・若い世代に良い人材が来ない。(近畿地区のNPO局)
・上が新しい人を取る気がなく、自分たちが定年退職したらどうなるのか、とても心配である。(関東地区の三セク局)
というのがありました。
■全国のコミュニティFM局にアンケートを実施します
コシバが話を聞けたケースは、300局以上あるコミュニティFM局の中のほんの一部で、運営上の悩みや問題点は、会社のマイナスの部分となるためかなかなか話したがらないという現実があります。そのため、大まかな傾向はわかっても、細かい傾向まではわかりません。
そこで『みんなのサンデー防災』では全局を対象にコミュニティFMの運営上の悩みに関するアンケートをとろうと考えています。そこで出た結果で、地域ごとや運営形態によって傾向があるのかを探ってみたいと思います。
ご覧頂き、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。
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