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コミュニティFM大分析 #11【令和6年能登半島地震・コミュニティFMが果たす役割】

koshibatakashi

こんにちは。「コミュニティFM大図鑑」のコシバです。


コシバが長年調査・収集した情報を分析して、目黒先生の解説と共に紹介していく「コミュニティFM大分析」。


2024年1月28日の「サンデー防災Open.Lab」では、同年1月1日に発生した能登半島地震を受けて、災害時にコミュニティFMが果たす役割を考えてみました。


 

■災害時におけるコミュニティFMの意義


防災、減災の上でメディアの役割は重要で、特にコミュニティFMは適切なエリアサイズで、日頃から地域と繋がっている特性を持っています。


同じ災害でも地域の環境によって変わります。コミュニティFMは地域の特徴をよく知っているので、災害イマジネーションを高め、さらに過去の事例から生まれた経験や教訓を共有できれば、より防災力を高めることができます。



■災害とラジオ・コミュニティFM


これまでの大きな災害では、ラジオが被災された方々の強い味方になってきました。


●1995年「阪神・淡路大震災」

発生時は近畿にコミュニティFMが1つしかなかったが、日本初の臨時災害放送局(災害FM)・FM796フェニックスや在日外国人向けのミニFM局・FMヨボセヨとFMユーメン (後のFMわぃわぃ)が活躍しました。


コミュニティFMが制度化されたのは1992年で、当初は地域の活性化や情報格差是正などが目的でしたが、阪神・淡路大震災をきっかけにきめの細かい情報が発信できるコミュニティFMが注目され、全国で開局するきっかけとなりました。


●2004年「新潟県中越地震」

長岡市のFMながおかが災害FMとなって臨時で出力を上げて放送エリアを広げ、被害が大きかった小千谷市などの情報を伝えました。


また、FMながおかと六日町のFMゆきぐにが、十日町市の災害FM開局を支援しました。十日町市は後にコミュニティFM・FMとおかまちとして開局。現在でも放送を続けています。


●2007年「新潟県中越沖地震」

柏崎市のFMピッカラが24時間体制での放送を、1ヵ月半に渡って続けました。当時はAIアナウンサーが登場する前だったので、スタッフが交替で肉声で伝え続けました。


FMピッカラ(2022年撮影)
FMピッカラ(2022年撮影)

●2011年「東日本大震災」

特に被害が大きかった岩手・宮城・福島の3県を中心に、30もの災害FMが開局し、最長で2018年まで情報を伝え続けました。岩手県宮古市や宮城県気仙沼市などはコミュニティFMに移行して、現在でも運用を続けています。


●2014年「熊本地震」

熊本市のFM791が被災して、スタジオや事務所の中が散乱しながらも放送を続け、市内の学校の校歌を流して避難している方々を励ましました。


●2018年「北海道胆振東部地震」

深夜の発生で北海道全域がブラックアウトしたにもかかわらず、室蘭市のFMびゅーが発生30分後から約60時間にも及ぶ放送をするなど、北海道内のコミュニティFM各局が停電で不安な住民に対して寄り添いました。


また、北海道のコミュニティFM局などが支援して、むかわ町と厚真町に災害FMを開局しました。



■ラジオななおの状況


石川県内には金沢、小松、七尾、野々市、かほくと5つの市にコミュニティFM局がありますが、今回の地震で最も被害の大きい能登地域にあるのは、七尾市のラジオななおが唯一です。


ラジオななおが入る北國新聞社七尾支社ビル(2022年撮影)
ラジオななおが入る北國新聞社七尾支社ビル(2022年撮影)

ラジオななおはJR七尾駅に程近い、北國新聞社七尾支社の5階にスタジオがあります。


七尾市は震度6強を観測しました。地震発生当時、緊急地震速報の自動アナウンスの後、激しく物音がして、その後からしばらくは「ピピピピピ…」とアラーム音のようなノイズが乗っていました(当時、インターネットサイマル放送でラジオななおを聴取していた方のSNSの投稿より)。停電により一時停波したものの、早い段階で復旧をしたそうです(総務省発表の被害状況より)。


※当時、七尾市には大津波警報が出ており、ラジオななおも海に近い場所にあるため、スタッフの方は警報解除まで立ち入りができなかったそうです。


1月3日午後、ラジオななおの公式サイトに被災直後の局内の様子がアップされました。事務所内は棚が倒れるなど物が散乱し、通常の業務ができないのが一目でわかるような状況になっていました。


12日に再度アップされた画像では、放送設備は完全に復旧していました。放送設備に大きなダメージがなかったのは本当に幸いでした。



■ラジオななおの情報発信


ラジオななおは被災したこともあり、しばらくは七尾市防災無線の割り込み放送や、姉妹局であるラジオかなざわの番組などを挟みながら、予定通りのプログラムを放送していました。


4日昼、被災したスタジオから、フリーアナウンサーの車吉章さんが能登半島地震の災害情報を伝える特別番組を4時間に渡って生放送しました。


特別番組ではリスナーからの情報も交え、避難所や支援の情報、家屋修理に関する詐欺トラブルへの注意喚起などを伝えながら、車さんは被災された方々に「みんなで踏ん張りましょう」と呼びかけました。翌5日にも、ラジオかなざわのスタジオから車さんが情報を伝えました。


13日には、七尾市の茶谷義隆市長のインタビューを放送しました。その後も状況に応じて、随時災害に関する生活情報を発信しています。



■車吉章さんからの発信


ラジオななおの特番に出演した車吉章さんは、「伝える側」としての発信を続けています。


4日の特番の前、七尾市中を見て回り、被害の状況や被災された方の声に直に接しました。そこでは「被災地から外側に向けての情報はいらない、内側に向けた情報がほしい」「気が張っているので音楽を流してほしい」「テレビは煽る情報ばかりだから鎮めてほしい」といった声を訊きました。


車さんは「情報着信」(聴く人の側に立ってどれだけ伝えられるか)を意識して、落ち着いたアナウンスでゆっくりとわかりやすく伝えていました。合間には、復旧作業やお世話をしている方々世代に合わせて、主に1980年代の曲を流していました。


地元に精通しているため、地域の方々に寄り添った放送をしていたことがとても良く伝わりました。



■コミュニティFM各局の支援の動き


被災地のコミュニティFM局は自らも被災したため、自分たちだけで何でもやろうというのは難しい。そういった中で、他のコミュニティFM局から支援の動きが出ています。


「よりそいラジオ」を掲げる京都府京都市伏見区のFM845では、不安な夜を過ごしている被災された方々に向けて、12日から深夜帯に演歌・歌謡曲を流しています。


FMわぃわぃの立ち上げに携わった方が関わる、兵庫県神戸市長田区のNPO法人「多言語センターFACIL(ファシル)」が石川県や各自治体の国際交流会館の担当者らと連携し、県内の在日外国人(約17,000人)に向けた生活支援も始まりました。


また、東京都西東京市のFM西東京では、西東京市から輪島市に渡って起業をした方が立ち上げた「輪島朝市を応援する会」の支援を始めました。



■災害FM開局の検討を


ラジオななおの放送が途切れていないことは幸いでしたが、情報発信量には限界があるため、姉妹局であるラジオかなざわラジオこまつの協力が不可欠だと思います。


そして、特に被害が大きかった珠洲市や輪島市、志賀町での災害FM開局の検討を望みます。災害FMは電話一本でも開設できて、機材も北陸総合通信局に備えてあります。


被災地の自治体は災害対応に追われているので内部からの立ち上げは難しくとも、外部で災害FM運用の経験のある方が首長に対してアクションを起こせば、比較的早期に開設できると思います。


ご覧頂き、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。





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